
新型コロナウイルス感染症の症状がどんなものかは多く報道されているが、回復後の後遺症の実態は意外と知られていない。記者(33歳、女性)は、感染から1年たった今も後遺症に苦しんでいる。体の痛みで座っていられずにのたうちまわり、ひどい倦怠感で日常生活がままならない時もあった。仕事も長期の休職を余儀なくされた。治療である程度は改善したものの、今も本調子にはほど遠く、再び悪化するかもしれない恐怖と闘う日々だ。 コロナ感染、37%に後遺症 昨年の英政府発表
若年層は感染しても重症化しにくいからと、油断しないでほしい。コロナ感染自体はたいしたことがなくても、その後に重い後遺症に苦しむ人は多くいる。記者の体験から、その深刻さを知ってもらいたい。(共同通信=秋田紗矢子) ▽感染判明、でもずっと軽症 コロナ感染が判明したのは昨年1月。東京ではいわゆる「第3波」と呼ばれ急拡大していた時期だ。自分もいつ感染してもおかしくないと感じ、一切の会食を控え、友人の家に集まる予定もキャンセル。習っていたヨガもオンラインに切り替えていた。 味覚がなくなっていると気付いた瞬間は鮮明に覚えている。当時、JRの駅構内にある自販機だけで売っている割高なりんごジュースがマイブームだった。飲むと芳醇なりんごの香りが鼻に抜ける。 ところが1月15日午後8時ごろ、帰宅途中にりんごジュースを飲んだが、味がしない。ただ冷たい水を飲んでいるようだった。まさかと思い、家にあったありとあらゆるものを口にした。お茶、牛乳、ビール…すべて水を飲んでいるよう。キムチは砂をかんでいるようだった。これが味覚障害か―。感染を確信した。
翌16日朝、近くのクリニックを受診。抗原検査で陽性と診断されたが、重症化はしなかった。熱が上がらず、せきもない。当時住んでいた品川区からはすぐにレトルト食品などが届き、保健所も毎朝、体調を確認する電話をくれた。 自宅待機の10日間は軽症のまま過ぎた。ただ、起き上がるのがおっくうになるような倦怠感は残ったため、大事をとって職場復帰は2月からにした。 復帰初日、明らかな異変があった。電車で30分ほど通勤しただけなのに、激しい疲労感をおぼえ、会社に到着するなりソファに倒れ込んだ。 この疲労感には覚えがある。かつて、登山でテントを担いで北アルプス・涸沢を目指し、5時間以上歩き続けた。それでもたどり着けず、ゴール目前で一歩も歩けなくなって座り込んでしまった。あの感覚に近い。 このときはまだ「コロナで体力が落ちたからか」としか考えなかった。しばらくたつと、異常な疲労感や倦怠感は通勤だけでは出なくなり、だんだん収まっていくのだろうと信じていた。
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