
作曲家にとってペンネームとは?
アイドル楽曲愛好家の中には、少なからず「作曲家」に注目する層がいる。推しのグループの新曲が解禁されてから作曲家が発表されるまでの期間に「今回の作品は○○が作曲したのではないか?」とツイッターなどのSNSで予想し、楽しむのである。そう言えば作曲家はなぜペンネームをつけるのだろう?(文=“you-me”成瀬英樹) 【動画】乃木坂46「全部 夢のまま」…作曲家のyou-me本人が“聴きどころ”を解説 作曲家である筆者も、楽曲コンペを勝ち抜き採用が決まると、楽曲解禁後はSNSで評判を見たり、自作曲を愛好家のみなさんがどのように予想をするのかが心からの楽しみである。意外に思われるかも知れないが、作曲家とはリスナーの評判が大いに気になる職業であり、SNS全盛の現代ではその評判をダイレクトに感じることができるのだ。 そんな楽曲愛好家の中で、近年その存在が話題になっている作曲家が「デレク・ターナー」だ。2020年12月に櫻坂46の大ヒット曲「Nobody’s falut」の作曲で頭角を表すと、21年には日向坂46「君しか勝たん」、SKE48「あの頃の君を見つけた」、櫻坂46「流れ弾」と立て続けにオリコン1位をかっさらった。作曲家の1つの目標である「紅白での歌唱」も果たす。近年は「楽曲コンペ時代」であり、1人の作家にこれほど表題曲が集まること自体異例のことだ。まして1年強で4作のオリコン1位獲得は快挙である。 この「デレク・ターナー」というペンネームが、非常に曲者である。いや、本名である可能性も捨てきれないが、おそらくは違うだろう。このネーミングにはどこか興味をそそる響きがあると感じてしまう。 SNS上でもこの「デレク・ターナー」の正体が一体誰であるのか? 楽曲ファンたちが盛り上がっている。さまざまに推測をしたり仮説を立てるのは本当に楽しい。さあ、真相は?
作曲家のペンネームにはいくつかの「型」がある
ところで、ペンネームにはいくつかの「型」がある。 1つ目は「筒美京平」型。これが通常のペンネームの形だ。作曲家・筒美京平は、本名を渡辺栄吉という。作曲をする際に使う名前が「筒美京平」だ。ペンネームを名乗ることで「匿名性」をある程度維持することができるが「筒美京平」という名でメディアに登場することもあった。 2つ目は「呉田軽穂」型だ。松任谷由実が作曲した松田聖子の一連の名曲群(「赤いスイートピー」、「渚のバルコニー」、「瞳はダイアモンド」など枚挙にいとまがない)でペンネーム「呉田軽穂」を使用している。松任谷はおそらくアイドル歌手に提供する曲と自分が歌う曲を、自分の中で分けたかったのだろう。しかしながら「呉田軽穂=松任谷由実」であることを秘密にするものではない。 そして3つ目が「秘密のペンネーム」型だ。代表的なのは初期の「ヒャダイン」だ。彼は数年間、自身が作曲家「前山田健一」であることを伏せていた。 かく言う筆者自身も結果的に「秘密のペンネーム」を使用していたことになる。11年に作曲家事務所を移籍した際、新事務所の担当者から新たにペンネームでの活動を打診され、心機一転の思いもあり承諾した。当時まだ幼かったまな娘の名前をそのまま英語に置き換えた「you-me」の名で楽曲コンペに参加した。16年のAKB48「君はメロディー」でオリコン1位を獲得するまで、「you-me」が「成瀬英樹」であるということを公言しなかった。 と言うのも、12年に当時AKB48在籍中だった前田敦子さんのシングルとして筆者作曲の「君は僕だ」が採用された際オリコン1位になったら「you-meは僕です!」と発表しよう! と心に決めていからだ。結果は惜しくも2位であった。
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